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玉崎●●夏にへたった植物も秋からはブルー系のサルビアなどいい色の花が咲く時季で、関東地方ですと、11月、霜が降る時期まで咲き続けるわけです。ところがそれをずっと咲かせておくと春の球根の植え付けや秋の苗の植え付けの時期が遅れてしまうんです。そこの辺をどうするかということが、特に球根なんかはあまり植え付けが遅くなると翌年にいい花が咲かないケースが出てくるのです。チューリップなんかは12月一杯に植えればなんとか咲きますけれど、スイセンなんかはあまり遅れたりすると球根がうんとやせちゃう。また、来年用の球根を園芸店なんかであまり遅く手に入れると質の悪くなっているものがりますので、早めに手に入れ、仮にポット植えしておくとかして根を出させます。
で、11月、秋の花が終わったら、花壇を一度全部整理して石灰を撒いたり、堆肥を入れたりしてよく耕して、来年の花壇を作るということですね。
星谷●●仮にポット植えした球根を整理した花壇に植えるわけですね。
玉崎●●ひとつのポットに一個植えると場所をとってしまうので、15センチ位のポットに三つくらい植えていくといいですね。
ただ、普通のポットに植えたものはポットの土の高さと地面の土の高さと同じにしますけれど、球根の場合はもうちょっと深く植る。花壇の土を上から3センチから5センチ被せるくらいにします。そうすると、来年の春にはいい花が咲きます。
ある程度冬の間に根が伸びていないと本当に寒い1月、2月に霜柱で持ち上げられて枯れちゃうことがあるんで、ある程度の根を伸ばしてやって植え付け、しっかりと球根が土の中に固定されるようなかたちにした方がいいですね。
星谷●●11月くらいまでが一番いいですか。
玉崎●●本来なら9月中旬から10月中旬くらいに一般の球根を植えるんですけれど、どうしてもまだ咲いているんでね。寒いところだと10月くらいで諦めたり、春植えにしちゃうんですけど、関東地方は暖かいので。雪国とかイギリスみたいに冬の温度が下がってくるところだと冬の間は花そのものを楽しむということはしないで思いきって土作りができる。
星谷●●冬の間を利用してですね。
玉崎●●関東地方はだらだらずうと咲いているんで土がいじれなくなっちゃうわけですね。


星谷●●前回、土の手入れの仕方というか、植物も呼吸していて土は排泄物があるということを教わりまして、今まではチョット肥料を足して植えかえていたプランターも、この頃は土をちょっとしんどいですけれど花壇に捨ててから、新しい土を買ってそれなりに混ぜてやっています。
玉崎●●全部新しい土にするのはなかなか大変なんですけれど、今、そういった土を再利用する実験をしてるんです。生ゴミを腐らせる段階で使い終わったポットの土をいれていくんですね。生ゴミだけだとハエが集ったりしますので、上に被せていくと丁度いい腐り具合になるんです。土の中に菌がいますから菌が分解して適当に水分を吸ってくれて、結構いい土が出来ます。
星谷●●臭いはどうですか。
玉崎●●臭いはしませんよ。醗酵促進剤を撒いて土を被せちゃえば殆ど臭わないですよ。
星谷●●醗酵促進剤というのが必要ですね。
玉崎●●それの方が早く、きれいに分解しますのでね。
星谷●●お天気が良くてペチュニアが長く咲きましたでしょ、それで土を開けてみると細かい根が土の中に入っていて、殆どその土は使っちゃいけないなと思いましたね。そういう利用方法だとまた蘇って使えるわけですね。
玉崎●●その時に残っていた植物の根とかそういう物をバクテリアが分解してまた新しい土を作るためのバクテリアの栄養源になるわけです。
星谷●●それが生ゴミと一緒になって良くなってくるわけですか?
玉崎●●そうですね。そんな方法もあります。


星谷●●最近ちょっと夏の花を一度入れ替えてみたんですけど、植えかえる花はお店に一杯ありますけど、土を入れ替える作業って本当に大変です。土が出来てて花を植えるというのはさほど苦労はないんですけど、土を作るっていう段階はいかに大変かっていうのがわかります。
玉崎●●結局土代が一番高くついちゃうっていうこともあります。大形のコンテナでなさっている方で、まん中に樹木を植えてやったりしているケースもありますよね。そういう場合、土の一部を取り替える方法があるんです。樹木そのものは動かさず、草花類は掘り上げて、土を一部深く切り取って取り除いてやって、その穴に新しい土を加えてやるといいですね。土を取り除く時に樹木の根を少し切り取ってしまうくらいな方が樹木の成長も止って、樹木もしまり、花の咲く物は花は良く咲くようになります。堆肥の醗酵促進剤、土壌改良材を混ぜてやると、土壌の古い死んだ根をバクテリアが食べてくれて、そこに微細な穴が残り、通気や通水をよくする働きをするんです。本来自然界ではそれが出来ているわけです。
あと、同じ植物をずーっと作っているとそれ特有の有害な菌が繁殖しているケースもあるんで、もし同じ土を使うようでしたら、違うタイプの植物を植えると同じ菌が繁殖することも少ない。
星谷●●同じ種類というのはあまり良くないんですね。
玉崎●●そうですね。
で、一般的には、コンテナの土を再利用するにはふるいでふるって古い根っこを捨ててしまったりとか、逆に2ミリ目位のふるいでふるってそれを通る細かいものは捨てて、つぶつぶのはっきりしている物だけを再利用する。
星谷●●土に随分気を入れないとだめですね。どうしても花にばかり気が・・・。
玉崎●●それと園芸用土はたくさんの種類が出ていますが、品質的には物凄くばらつきがあるんです。お米以上にあるんじゃないですか。お米もピンキリで値段も違うじゃないですか。
星谷●●お米はある程度分かりますけれどね。土は分かりずらいですよね。


玉崎●●土は分かりづらいんでね。植物はそれが分かるわけで、人間がそれをなめてみてというわけにはいかないので、そこをいかに見分けるかということが園芸をやるうえで大事な要素になります。それを見分けるコツは細かいほこり状のものが沢山入っている物はダメですね。ある程度握って弾力のあるものがいい。それと良心的な、内容に自信のあるものは、多少高いかも知れませんがパッケージに透明な部分があったりして、みなさんが見れるようにしています。安いのはパッケージだけ派手でいかにもガーデニングという感じのかわいいパッケージになってて、それでしかも安いというので買ってくると、実際にはいい土を造る製造過程に出来たカスみたいなものの場合もあります。
あと、安い物で汚泥を使っている物があります。一般の処理場の物や特殊な業界、例えば製紙工場の物と、汚泥によって違うんですが、一般の汚泥を使っている場合、再度、熱をかけてという製品はそこそこに使える土なんですけど、汚泥ですから重金属とか様々な物が混じっているで、そういうものは野菜とかハーブには使わない方がいいです。
星谷●●でもそれは分からないですね。
玉崎●●汚泥っていうのは見るとすぐに分かります。
星谷●●どういう感じですか。
玉崎●●グレーと茶色の間ぐらいで、丸くぽろぽろしていて、ベースになっているものがピートモスや赤玉、バーミキュライト、パーライトがベースになっています。
星谷●●それは袋に明記してありますね。
玉崎●●必ずしも書いてはありません。それを手のひらで見て鑑別がつくようになると、園芸も上達したっていうことですね。ほこり状のものはダメですね。あと鹿沼土も半分つぶれているようなものはダメです。鹿沼土の地層の上の方はやらかいものですが、掘っていくと粒子のしっかりした固いいい物が出てきます。
星谷●●鹿沼土はプランターに使う時はどのような場合ですか。
玉崎●●鹿沼土は混ぜて使ったりします。鹿沼土単体では腐葉土を混ぜてサツキ用の土とかカボク用の土として使います。この土は酸性がかなり強いのでサツキは酸性の土を好みますのでいいですね。また、ブルーベリーを育てる時もいいですね。
星谷●●プランターでふつうに使う時には使いますか。
玉崎 おまり使わないです。ただ量的に多くなければ酸性も強くならないので、また、石灰を加えて中和して使うというのも多いんですね。土の性質としては非常に団粒でいいんですけど、そういうものを混ぜて園芸用に売られているんです。
星谷●●本当に便利になりました。
玉崎●●ただ質の悪い物だと気をつけないといい結果が出ない。大形のプランターなどで、何年も使うという場合、粒子のしっかりしたものでやっておけば目詰まりも少ないんですけど。
星谷●●土の見方は粒子がしっかりしたという所がポイントですか。
玉崎●●そうですね。
星谷●●土の入った袋の隙間から見るとか。
玉崎●●触ってみてある程度がざがざっていうのがいいですね。ピートモス主体で作っているやつはやらかいですね。ピートモスと牛糞を混ぜて2、3年寝かしたものは非常にいいんだけれど高いんです。その辺の見分け方が少し分かってくるといいんですが。同じお店でピンキリの物があると、特売の安い物はそれなりの物ですね。ただ、一回使って取り替えるようなつもりならそれでいいですね。バーミュキュライトって改良土なんですけど、いい性質なんですけど寿命が短いです。一年も使うとぺちょっと潰れて本来の性質がなくなってしまいますね。ですので、バーミキュライトの入っている物は一年で取り替えることになります。
星谷●●土を研究しなければいけないですね(笑)。
玉崎●●土と肥料ですね。土も本当にいい土を見ますとよだれが出るような物がありますね(笑)。
星谷●●そういう土だと水やりと追肥はそんなに気にしなくてもいいですか。
玉崎●●肥料は別に考えます。要するにいい土なら肥料をやっただけいい効果を発揮します。根の状態があまり良くない時に肥料をやっても吸ってくれない、物によっては樹木が肥料を吸わないうちに水をやるたびに肥料が流れてしまうとか、土が肥料をしっかり貯えておく性質がないとか、その辺を秋のうちに土の見方を心得ていただくといいですね。それと花壇の土作りは、やはり苦土石灰を撒きます。1uに湯飲み茶わん一杯くらいの量で30cmくらいの深さで耕しまして、一週間くらい置いておきます。雨が降らない様でしたら少し水を撒きまして、水に溶けた石灰が土に馴染むようにします。それから肥料とか堆肥を入れていかないとダメなんです。石灰と化成肥料を一緒に撒いてしますとお互いの反応で効力が消えてしまうようなところがあります。
星谷●●一週間は置いておくんですね。
玉崎●●時間的に無理な場合は粉状の石灰がありますから、それを撒いて徐々に反応させていくといいですね。
星谷●●その辺のノウハウが分かってくると、何を植えても失敗がないですね。
玉崎●●関東地方の場合は、11月一杯くらいならば春用の苗を植えつけても大丈夫です。本当に寒くなって、霜柱が上がってくるのは一月半ばくらいからですから、それまでに根が張りますから大丈夫です。ところが関東地方でも山よりのちょっと寒いところですと、11月くらいに植えてしまうと、根がつく前に霜で持ち上げられてしまうんです。
星谷●●春用の苗っていいますと?
玉崎●●ほとんどの植物は春植える分には間違えがないですね。霜が降りる1ヶ月くらい前までに植え付けるんですけど、本当にギリギリになったらマルチングって言いまして、藁の切った物とか、乾いたピートモスとかを敷いてやらないと霜柱で土が持ち上がってしまいますね。
星谷●●この頃の冬は暖かくなりましたでしょう、地球規模で。霜ってあまり見なくなりましたね。
玉崎●●霜で真っ白っていうのがなくなってきましたね。で、霜と霜柱は違いまして、霜は表面が白くなるんですけど、霜柱っていうのは土の中の水分が上がってきて凍ってくるということですね。関東地方って赤土や黒土で、火山灰土って、霜柱が立ちやすいんです。
星谷●●すっかり冬の風景の話になってきましたね。


玉崎●●モネの庭っていうのは、実際には2万uくらいありまして、半分以上がモネが住んでいた家を中心にきれいな花の庭になり、半分が日本でも有名な、モネの絵でもたくさん出てくる太鼓橋のかかった池に柳や睡蓮がたくさん咲いている庭になります。とくに花の庭っていうのはあまり日本では知られていないんですけど、ものすごい広い所にたくさんの花壇に色とりどりの花が一年中咲くようになっているんですけど、その庭を2004年の静岡の花博で再現するんです。
星谷●●それは凄いことですね。
玉崎●●ほぼ同じように造っていくんですが、静岡の浜名湖で開催しますから、潮風、海風がひどいんですね。
星谷●●浜名湖ですか。
玉崎●●ええ、浜名湖の庄内半島っていう所がありまして、そこの埋め立て地を使ってやります。花の美術館っていうテーマで、その中にモネの庭を再現するんですね。
で、去年二度ほどフランスに行きまして、いろいろ調査をしまして設計をしているところで、今はほぼ基本設計は終わっている所で、実際にひとつひとつの花壇に何を何株、何色のチューリップを植えるかっていう風に全部やるわけで、その段階を今やっています。多くの花壇はパターン化されていて、ひとつのパターンがあればそのくり返しでいけるんですけど、モネの花壇はすべての花壇が違うんです。だからひとつひとつ実際に植える植物の品種とか色とか何株とかをやる訳です。花博全体の花の調達係りがいまして、数百万本の花を通し番号で記号化するわけです。花の咲く前にどれがどれって分かりませんから、トータルで数百種類の植物があるわけですからね。
星谷●●大変な作業ですね。
玉崎●●図面に花の名前を書くと同時に通し番号も書かなければいけないんです。しかも、花壇の図面を50cm単位で四角く仕切ってどこに植えるかを全部書かなければいけないんです。花の庭をやるにはA3の図面が50枚いるんです。それもオープン当初、パンジーとスイセンとチューリップとオールフラワーが一面に咲いている状態で、それが4月下旬になりますとそれらの花は終わりますのでその後何を植えるのかというのを書かなければいけないんです。で、ジャマンアリスが咲くんですけど、それが終わるとポピーとバラが咲き始めるんです。夏になるとヒマワリとか夏の植物が咲いて、秋になるとダリアとかアスターとか咲きます。当初の植えつけの後に4回植え付けるわけで、計五回、250枚の図面を書かなければいけないんですね。
星谷●●すごいですね。
玉崎●●CADを使ってやっていますね。
星谷●●そうしますと五回通わないといけないですね。
玉崎●●そうですね。池の庭はそれほど変化しないんですけど、でもモネの絵に出てくる太鼓橋と柳と睡蓮の風景はいつも保っていなければいけないですけどね。
で、そういった中でモネがなぜスイレンの絵を描いたかっていうことを追っかけていかなければいけない。その辺についてはNHKのBSの特別番組でやります。フランスに2度撮影に行っていますのでよく出来ていると思います。なぜモネは睡蓮を描いたのかっていうことについて分かると思います。睡蓮の咲くシーンをスタジオで撮るっていうので家の庭が一杯になるくらい預かり、スタジオに持ち込んだらなかなか咲かないって電話が掛かって来たんですけど、睡蓮っていうのはものすごく敏感で、ちょっと状況が変わったり、光の具合が変わったりすると突然成長を止めたりするんです。
星谷●●繊細なんですね(笑)。
玉崎●●その辺がまた面白いんですね。光に敏感で、光を追い求めた印象派の画家と睡蓮という出逢い。
星谷●●いいですね。
玉崎●●今はそういうお手伝いをしていますね。
星谷●●それは愉しみですね。今日は楽しいお話をありがとうがとうございます。
(聞き手:星谷けい子さん)